産廃収集運搬許可を複数都道府県で取るやり方|手順と費用を解説

結論から言うと、許可は「積込む県」と「積卸す県」の両方で必要です。通過するだけの県は要りません。だから事業エリアを地図で描けば、必要な県数は自分で割り出せます。
この記事では、なぜ県ごとに許可が要るのかという仕組みから、申請手順・費用の目安・つまずきやすい差し戻し対策まで、行政書士として10年以上現場で見てきた順番で解説します。読み終わるころには、今日から動き出すための地図が手に入ります。
産廃収集運搬許可が複数都道府県で必要になる仕組み

まず押さえるべきは法律の条文です。廃棄物処理法第14条第1項で、収集運搬業の許可は「業を行おうとする区域」を管轄する都道府県知事から受けると定められています。
積込み地・積卸し地それぞれに許可が必要という原則
運搬のみ(積替え保管を伴わない)の場合、対象になるのは積卸しを行う区域です。県をまたいで運ぶなら、積込む県と積卸す県の両方で許可が要る。これが基本の考え方です。
例えばA県で廃棄物を積み、B県の処分場で降ろすなら、A県とB県の2つの許可が必要になります。途中でC県を通過しても、C県の許可は原則いりません。
前述の第14条第1項の「区域」要件から、この運用が導かれます。意外と「通過県も要るのでは」と心配される方が多いのですが、そこは安心してください。
政令市が独立した許可権者になるケース
許可権者は平成23年4月1日以降、原則として都道府県知事に一本化されました。ただし政令市については例外や経過措置がある場合があり、各自治体の手引で確認が必要です。
正直に言うと、ここは申請前に一度自治体に電話で確認するのが確実です。横浜市や川崎市のように政令市が窓口になる扱いは地域差があり、思い込みで進めると後で慌てます。
自分の事業に何県分の許可が要るか判断する基準
判断はシンプルです。取引先と処分場の所在地を全部書き出し、積む県と降ろす県をリストにする。重複を除いた県数が、必要な許可の数です。
もう一つ、積替え保管を伴うかどうかで必要な許可の考え方が変わります。積替え保管あり・なしは制度上区別されるので、ここを先に決めてください。
| 運搬パターン | 必要な許可 |
|---|---|
| A県で積む→A県で降ろす | A県のみ |
| A県で積む→B県で降ろす | A県・B県 |
| A県で積む→C県を通過→B県で降ろす | A県・B県(C県は不要) |
複数都道府県の許可申請を進める手順
ここからは実際の進め方です。所要時間の目安は、書類が揃っていれば1県あたり申請まで数日、許可取得までは各県の標準処理期間しだい。難易度は、書類集めさえ乗り切れば中級程度です。

前提として、講習会修了証・住民票・登記事項証明書・財務関係書類などが必要になります。これを土台に、1ステップずつ進めます。
事前準備(講習会修了証・必要書類の収集)
手順1。講習会を受講し、修了証を取得します。申請者は自治体が求める要件として講習会修了証などを満たす必要があります。
ここまでできていれば正しい:手元に修了証の原本があり、複数県へ同じ修了証を使えるか申請先の手引で確認できている状態です。修了証の扱いは自治体ごとに運用があるので、ここは要確認です。
手順2。住民票、登記事項証明書、納税証明書などを集めます。これらは発行後3か月以内などの期限が付くことが多いです。ただし全国一律の法定期間ではないため、各自治体手引で必ず確認してください。
うまくいかないときは:複数県へ同時申請するなら、住民票は最初から県の数だけ多めに取得しておくと、後で取り直す手間が消えます。私はいつも余分に2部多く取ってもらいます。
申請先と申請スケジュールの確認
手順3。各県の申請窓口と予約の要否を確認します。事前予約制の窓口もあり、書類が完璧でも予約が取れず遅れることがあります。
ここまでできていれば正しい:各県の窓口名・受付方法・予約日が一覧になっている状態。複数県をまとめるなら、提出順をカレンダーに落とし込んでおくと管理が楽です。
書類作成と各都道府県への提出
手順4。県ごとの様式に合わせて申請書を作ります。必要書類や添付書類は自治体ごとに異なるため、各県の手引を個別に見ながら作成します。
手順5。各県へ提出し、手数料を納めます。確認の目安は、受付印または受付番号を受け取れたかどうか。これが取れれば審査ラインに乗っています。
審査から許可取得までの流れと確認の目安
提出後は各県の審査に入ります。所要期間は県ごとに異なるため、後述の標準処理期間を目安に待ちます。
完了状態:全申請県から許可証が届けば、この手順で複数都道府県の収集運搬が始められます。許可証の品目・区域が申請どおりかを必ず照合してください。
都道府県ごとに異なる申請ルールへの対応
複数県申請でいちばん神経を使うのが、県ごとのルールの違いです。申請先や様式が揃っていないため、1県のやり方を全県に流用すると差し戻されます。

申請先・許可基準の違い
申請先は各都道府県知事です。許可基準そのものは法律で枠が決まっていますが、財務要件や講習会修了証の扱いなど、運用の細部に差があります。
だから「A県で通ったから大丈夫」と油断せず、各県の手引で許可基準を読み直すのが安全です。
手続方法と記載内容の違い
手続方法は、窓口持参・郵送・電子と県によって分かれます。記載内容も、同じ趣旨の欄でも様式や添付の指定が異なります。
標準処理期間と電子申請の対応状況
標準処理期間は各県が手引で公表しています。電子申請の対応も県ごとに進み具合が違うため、全県を電子で揃えられるとは限りません。
私の実務感覚では、複数県を同時に出すなら「いちばん時間のかかる県」を基準にスケジュールを組むと読み違いが減ります。
複数県申請にかかる費用と総額の目安

費用の悩みは「県の数だけ手数料がかさむのでは」という不安に集約されます。実際そのとおりで、許可を受ける自治体の数だけ手数料が必要です。
都道府県ごとの申請手数料と実費
申請手数料は全国一律ではありません。具体的な金額は各県の手引で確認します。加えて、住民票・登記事項証明書・納税証明書などの実費が県数分かかります。
正直、ここで多くの方が見落とすのが証明書の実費です。手数料ばかり気にして、書類取得費が積み上がる点を忘れがちです。
複数県申請時の総額シミュレーション
総額は「手数料×県数」+「証明書実費×県数」+(依頼するなら)報酬で構成されます。金額そのものは県により異なるため、まず各県手引の手数料を書き出して足し上げてください。
| 費用項目 | かかり方 |
|---|---|
| 申請手数料 | 許可を受ける自治体の数だけ必要 |
| 住民票・各種証明書 | 県数分の実費が発生 |
| 講習会受講費 | 受講1回(修了証の使い回し可否は要確認) |
| 行政書士報酬 | 依頼する場合のみ・県数や難易度で変動 |
自分で申請する場合と行政書士に依頼する場合の比較
自分でやれば報酬はかかりませんが、県ごとに手引を読み込み、様式を作り分ける労力が県数分のしかかります。1県なら自力でも十分。3県を超えると、手間と差し戻しリスクが一気に増えます。
私の立場をはっきり言うと、5県以上をまとめて取るなら依頼を勧めます。逆に1〜2県で時間が取れる方は、自分でやって構いません。
| 観点 | 自分で申請 | 行政書士に依頼 |
|---|---|---|
| 費用 | 手数料・実費のみ | 左記+報酬 |
| 労力 | 県数分の手引読込・作成が必要 | 収集と作成を任せられる |
| 差し戻しリスク | 様式違いで起きやすい | 県別ルールを踏まえて低減 |
| 向いている人 | 1〜2県・時間が取れる方 | 多県・本業が忙しい方 |
つまずきやすいポイントと差し戻し対策
差し戻しの多くは、書類の枚数不足と県独自の添付漏れです。ここを先回りすれば、複数県でも手戻りはかなり防げます。

住民票など必要枚数の見落とし
複数県へ申請すると、住民票などは各県で原本提出を求められることが多く、必要枚数が一気に増えます。1部しか取らずに後で取り直す、という二度手間が起きがちです。
対策は単純で、最初から県数分+予備を取得しておくこと。発行から3か月以内などの期限にも注意してください(期限は自治体手引で要確認)。
都道府県独自の添付書類への対応
県によっては独自の様式や追加の添付書類を求めます。必要書類は自治体ごとに異なるため、共通書類だけ用意して提出すると、県独自分が抜けて差し戻されます。
私はいつも、県ごとに「共通書類」「その県だけの書類」を分けたチェックリストを作ります。これだけで提出時の漏れがほぼ消えます。
欠格要件・許可基準の事前チェック
欠格要件に当たると、いくら書類を整えても許可は下りません。役員に該当者がいないか、申請前に必ず確認してください。
許可基準(財務要件や講習会修了証など)も事前チェックの対象です。一県で基準を満たせないと、他県でも同じ理由で止まる可能性があります。
許可取得後の更新・変更を複数県で管理するコツ
取って終わりではありません。許可の有効期間は5年で、期限前に更新申請が必要です。複数県だと更新時期がバラバラになり、管理が一気に重くなります。

更新時期の管理と早めの準備
県ごとに取得日が違えば、5年後の期限も県ごとにずれます。私が勧めるのは、全県の許可日と期限を一覧表で管理し、期限の半年前にアラートを立てることです。
更新は新規と同様に書類が要ります。期限直前に動くと講習会の予約が間に合わない、という事故が起きます。早めの準備が効きます。
変更届を複数県で出す際の注意点
役員変更や事業所移転があると、許可を持つ全県へ変更届が必要になります。1県だけ出し忘れる、というのが複数県管理でいちばん多いミスです。
変更が起きたら、許可一覧表を見ながら「どの県に・いつまでに」出すかを最初に書き出す。これを習慣にすると、出し漏れがなくなります。
実際の相談事例とおすすめの一括申請サービス

ここまでの内容を、実際の相談に当てはめてみます。複数県をまとめて取る人ほど、段取り次第で負担が大きく変わります。
関東1都7県をまとめて申請した事例
建設系の運搬で関東全域を回るお客様から、1都7県をまとめて取りたいと相談を受けたことがあります。県ごとに様式と添付が違い、住民票だけで相当な枚数が必要でした。
そこで県別チェックリストと提出スケジュールを先に組み、証明書はまとめて取得。結果、取り直しゼロで全県の申請まで進められました。段取りが8割だと痛感した案件です。
一括申請がおすすめの方
立場をはっきりさせます。次に当てはまる方は、まとめて依頼した方が結局早くて安全です。
| こんな方 | 理由 |
|---|---|
| 3県以上を同時に取りたい | 様式作り分けの負担が県数分かかる |
| 本業が忙しく時間が取れない | 書類収集・窓口対応を任せられる |
| 差し戻しを避けたい | 県別ルールを踏まえて事前に整えられる |
| 更新・変更も任せたい | 複数県の期限管理を一元化できる |
kyoka-sanpaiのサポート内容
私たちが行うのは、必要書類の収集、申請スケジュールの確認、書類作成と各県への提出までの一連です。講習会の予約代行やオンラインでのやりとりにも対応します。
まずは事業エリアと取引先を教えてください。必要な県数を割り出し、納得できる見積りをお出しします。最初の相談だけでも、必要な許可の全体像はクリアになります。
産廃収集運搬許可の複数都道府県申請に関するよくある質問
よくある質問
最後にひとつだけ。複数県の許可は、難しいというより「段取りで決まる」仕事です。まず自分の積む県・降ろす県を紙に書き出すところから、今日始めてみてください。

- 環境省法令データベース(廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条第1項)
- 環境省(産業廃棄物収集運搬業の許可権限の見直し関連)
- 環境省法令データベース(廃棄物処理法 第14条)
- 各都道府県の産業廃棄物収集運搬業許可申請手引
- 各都道府県の産業廃棄物収集運搬業許可申請手引(書類)
- 申請先・様式の違いの解説
- 越境申請における手続の違いの解説
- 電子申請・処理期間に関する解説
- 各都道府県の手数料表(手引)
- 費用の考え方に関する解説
- 依頼・自力申請の比較に関する解説
- 添付書類・必要枚数に関する解説
- 許可基準・要件に関する解説
- 環境省法令データベース(許可の有効期間)
- 複数県の一括申請に関する解説
- 環境省法令データベース(廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条第1項)
- 環境省法令データベース(許可の有効期間)
- 各都道府県の産業廃棄物収集運搬業許可申請手引
- 環境省(産業廃棄物収集運搬業の許可権限の見直し関連)
